チベットの塩バター茶〈チベタン茶〉を日本で美味しく飲む方法

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チベットの塩バター茶をご存知だろうか。

かつてカンテGのメニューに「チベタン茶」という一杯があったのを、ふと思い出した。チャイにバターと塩を加えたような独特の味わいで、器になみなみ注がれたそれを飲み切るのはなかなかの覚悟がいる飲み物だ。だが、チベット高原は日本と比べて過酷な自然環境のはず。鍋やおでんが冬に恋しくなるように、チベタン茶も空調の効いた屋内のカフェではなく身を切るような冬の屋外で口にすれば ―― チベットの風土に少し近づいた環境の中で、その真価が見えてくるかもしれない。

(wikipediaより)

今回は、現代の日本で簡易的にチベットの塩バター茶を作る方法、その材料、美味しいと感じる環境について考えてみた。

チベタン茶とは

チベタン茶とは、チベット族を中心にブータンやネパールなど、アジア中央部の遊牧民族や住民が日常的に飲んでいる茶飲料で、一般的には「チベットのバター茶」と呼ばれることが多いが、ヤクの乳脂肪(バター)と塩を加えるため「塩バター茶」とも言われる。 ※今回はチベタン茶と呼ぶ。

(wikipediaより)

作り方は、発酵させたお茶を煮出して、ヤクや羊からとったバター、塩、牛乳を入れて、かき混ぜたら完成、というのが大雑把な流れとなる。

ダライ・ラマ法王日本代表部事務所の公式サイトには「人々は朝起きてから夜寝るまで何杯ものバター茶を飲む。年を取るにつれて、お茶を飲む回数は増える。外国の研究者の報告書によると、チベット人は、一日に50杯、いや100杯ものバター茶を飲んでいるという。実際、チベットの人たちが一日に何杯、お茶を飲んでいるのかは定かではないが、チベット人にとってバター茶は無くてはならない一般的な飲み物である。」と記載されている。(※「チベット人とバター茶」のページ)

回数はさておき、チベット族の人々は毎日これを飲んでいる。塩バター茶には高地生活で不足する栄養分を補う役割があるそうだ。

日本で簡易的に作るチベタン茶の材料

本来のチベタン茶を日本で淹れるのは材料や道具の面で難しいので、今回は次のもので代用する。

プーアル茶
中国雲南省を原産地とする後発酵茶(黒茶)で、輸送や保存の利便性と熟成を促進または制御するために固形茶であることが多い。固形茶は内容量が多く価格も高めになりがちなうえ、品質の見極めも重要なため、今回は扱いやすさを考慮し、国内メーカーの200g入り茶葉タイプを使用する。

発酵バター
ヤクや羊からとったバターの入手はハードルが高いため、よつ葉乳業の「よつ葉パンにおいしい発酵バター」で代用する。伝統的に自然発酵させて作られるヤクのバターと、乳酸菌を加えて作るよつ葉の「発酵バター」は発酵由来の風味という共通点がある。ただし、匂いが強く、独特の野生的なコクと濃厚さ、時にはチーズのような風味もあるヤクのバターと、きれいで洗練された風味のよつ葉の「発酵バター」は別物であり、あくまでも代用である。

天然塩
今回は岩塩が手元になかったため、塩分を補う目的で天然塩を使用。岩塩特有の風味やミネラル感は控えめになるものの、雑味のないシャープな塩味で、シンプルかつ飲みやすいバター茶に仕上がる。使用した「よつ葉パンにおいしい発酵バター」は有塩タイプのため塩加減を心配したが、発酵バター自体の塩味は控えめで、仕上がりへの影響はほとんど感じられない。

牛乳
乳脂肪分約7%前後とされるヤクのミルクは、濃厚さ、コク、クリーミーさが際立つ存在。その味わいに少しでも近づける日本で入手可能な牛乳として、乳脂肪分3.8%以上を目安に選定した。今回はその条件を満たす「北海道サロベツ豊富町 厳選4.0牛乳」を使用している。

日本で簡易的に作るチベタン茶の材料
材料一式。 © 2025 極東⌘近未来研究所
日本で簡易的に作るチベタン茶の材料
プーアル茶の茶葉。 © 2025 極東⌘近未来研究所

簡易的なチベタン茶の作り方

本来の作り方は、発酵させたお茶を煮出して、ヤクや羊からとったバター、塩、牛乳を入れ、かき混ぜたら完成、というのが大雑把な流れとなる。かき混ぜる工程では、現地ではドンモと呼ばれる専用の攪拌器具を使うが、今回はカンテGでの作り方に倣い、全ての材料を手鍋で煮込むことで馴染ませることとする。ミルクフォーマーや泡立て器で混ぜ合わせる方法もあるが、あまりにも現代的で個人的に避けたいと思った。

1)手鍋で湯を沸かし、プーアル茶の茶葉を入れ、濃いめに煮出す。

簡易的なチベタン茶の作り方
© 2025 極東⌘近未来研究所

2)発酵バター、ひとつまみの塩を入れる。

簡易的なチベタン茶の作り方
© 2025 極東⌘近未来研究所

3)同時に牛乳を加える。

簡易的なチベタン茶の作り方
© 2025 極東⌘近未来研究所

4)チャイを煮出す要領で更に煮込み、材料をしっかり混ぜ合わせる。

簡易的なチベタン茶の作り方
© 2025 極東⌘近未来研究所

5)茶漉しを使いながら器に移し、出来上がり。冷めると分離するので、熱いうちに飲む。

簡易的なチベタン茶の作り方
© 2025 極東⌘近未来研究所

日本でチベタン茶を美味しく飲む方法

上で入れたチベタン茶は、記憶にあったとおり若干飲みづらいものだった。現地の人は幼い頃から慣れ親しんでおり、おもてなしにも欠かせない大切な飲み物だそうだが、初めて飲む日本人の多くは、その塩気と油っぽさに驚き、苦手と感じるだろう。

それはミルクティーやチャイを飲む意識で口を付けるからであり、スープ感覚で飲めば違う感想になるだろう。実際に保温・防寒効果やエネルギー補給としても飲まれているのだから、食事に近いものだといえる。そしてそれは冒頭にも書いたとおり、チベット高原のような厳しい自然環境、日本で言えば真冬の厳しい自然の中で飲むのが適切だろう。

チベット高原は「世界屋根」とも呼ばれる平均標高4,000メートルを超える広大な高地であり、その自然環境は地球上でも最も過酷な地域の一つである。寒冷、乾燥、強風、そして低酸素という要素が組み合わさり、人類や動植物にとって極限の環境を創り出している。

(wikipediaより)

というわけで1月下旬、特に気温の低い日を狙って屋外でチベタン茶を飲んでみた。身体が実際に温まるか、エネルギー補給を実感できるか、そして何より美味しく感じるのか。

日本でチベタン茶を美味しく飲む方法
© 2025 極東⌘近未来研究所
日本でチベタン茶を美味しく飲む方法
© 2025 極東⌘近未来研究所

実験の結果は……

身体は温まりはするが、寒い屋外で飲んだからというだけで美味しく感じるということはなかった。また、塩味を控えめにして作ったところ、のっぺりとした味になり逆に飲みづらかった。

真冬のキャンプで飲むことを考えてみると、冷え込みの激しい朝晩に体を芯から温めるために飲むのには有効だろう。また、脂肪分と塩分を同時に摂取できるためエネルギー源になるし、お茶というよりは塩気のあるクリーミーなスープに近いので、朝食代わりにもなるだろう。

ただ、美味しいかと聞かれたら、自分にとっては微妙ではある。

まとめ

今回の実験をまとめると、以下のとおりとなった。ぜひ参考にしてほしい。

1. 近所のスーパーで手に入る材料を使った代用
 → 有効

2. 少しでも美味しく感じられるよう、空調の効いた屋内カフェではなく、身を切るように寒い冬の屋外で飲む
 → 無効

3. ミルクティーやチャイとして捉えるのではなく、保温・防寒効果やエネルギー補給を目的とした“スープ”として飲む
 → 有効

日本でチベタン茶を美味しく飲む方法
© 2025 極東⌘近未来研究所

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