グランフロント大阪のすぐ横に、インドやネパールの日常が切り取られたような店がある。
「Osaka Spice & Halal Food(大阪スパイス&ハラルフード)」。チャイを淹れるためのスパイスを探していて偶然見つけ、それ以来、何度も足を運ぶようになった。品揃えは本格的なのにとにかくコストパフォーマンスが高く、どこで買うよりも満足度が高いのだ。
店内には、カルダモンやシナモン、ジンジャーといったスパイスや、チャイ用茶葉のアッサムCTC紅茶はもちろん、日本のスーパーではまず見かけない食材が所狭しと並ぶ。現地の方々(やスパイス好きのマニアックな日本人)が日常の買い物に訪れるこの店は、自分でチャイやスパイスカレーを作る人にとっては宝の山でもある。
旅に出なくても、異国は案外近くにある。その入口は、大阪駅から歩いて数分の雑居ビルに隠れていた。
雑居ビルの3階は、インドもしくはネパールだった
ヨドバシカメラマルチメディア梅田、LINKS UMEDAのすぐ裏(北側)。人通りの多い通りから一本入ると、飲食店や雑居ビルが並ぶ少し落ち着いた路地になる。
「Osaka Spice & Halal Food」の看板は通りにも出ているが、初めてだと少し見つけにくいかもしれない。それでもGoogleマップを開いて歩けば、迷うことなく目的地へたどり着ける。
むしろ戸惑うのは、その先だ。



細い通路を抜け、かなり年季の入ったビルへ入る。いわゆる昭和な雰囲気だ。初めて訪れる人なら、「本当にここで合っているのだろうか」と一瞬立ち止まるかもしれない。けれど、その感覚は間違っていない。かなり怪しい。ただ、ここは日本だ。梅田の一角だ。街散策のプロなら、こういう入口の先にこそ、思いがけない世界が広がっていることを、大阪という街から何度も教えられているだろう。
1階にはインド・ネパール料理店「EVEREST TANDOORI UMEDA」が通路の両側にある。スパイスの香りを横目に見ながら階段を上り、3階へ向かう。このレストランと「Osaka Spice & Halal Food」は姉妹店のような関係で、入口からすでに異国への助走は始まっている(かなり気になるので今度食べにきたい)。

このビルは全体的に異国情緒があり、目指す3階にはインドネパール食材店のほかフランス語、英語、日本語教室があるようだ。



サインに導かれて廊下を進むとこの光景。初見では怪しい印象を持つかもしれないが、ここまで来た人ならむしろワクワクするだろう。

店の入口のドアは常時開いている。
扉の向こうは、梅田ではない。異国の日常が並ぶ棚
入口から最初に視界に入るのは小さなレジと、商品がぎっしり陳列された棚だ。店員さんは店の奥の方にいることが多い。店の中は全ての壁沿いに棚、中央に低い棚があり天板もテーブルとして使われている。

大阪駅から歩いて数分しか離れていないはずなのに、店の空気は別の国だ。置いてあるものは想像以上に本格的……というか、そもそも日本人向けに「エスニック風」に演出された店ではなく、現地の人たちが普段の食材を買いに来る生活の店だからリアルに本物だ。商品の並び方にも値札にも、異国の日常が滲んでいる。
店内には、日本の一般的な輸入食品店では見かけない商品が並ぶ。ハラル食品やスパイス、豆、米、茶葉、菓子類といった食べ物のほか、食器、ちょっとした布やヒンドゥー教の神々関係のグッズ、石鹸、ボディコロンなどスキンケア関連まで売られていて、これは何かとお店の人に尋ねるのが楽しい。会話は、日本語で話しかけると日本語で説明してくれるので心配ない(ただし、これまでに見た2人の店員さんは両方とも、込み入った日本語までは話せなかった)。




チャイを淹れる人も、カレーを作る人も。
自分がこの店へ通うきっかけになったのは、何十年と自宅で淹れて&飲んできたチャイだった。ジンジャー、カルダモンやクローブ、シナモンといった様々なスパイスが、パウダー(粉末)のほかシード(種)やホール(原型)」で売られていて、価格も安い。
チャイに欠かせないアッサムCTC紅茶も複数のメーカーから選ぶことができ、店内にはチャイの作り方を紹介したプリントまで用意されていて、「家でチャイを淹れてみたい」という人の背中をそっと押してくれるだろう。何度も言うが、茶葉もかなりコスパ良く購入できる。
輸入食材を扱うスーパーや専門店はいろいろあるが、スパイスも茶葉も種類や容量は限られていて、結構お高い。日常的にチャイを楽しむなら、こうした食材店の存在は心強い。





もちろん、この店の魅力はチャイだけではない。カレーパウダーやホールスパイス、細長いインディカ米をはじめ、さまざまなピクルスや調味料まで揃っている。本格的なスパイスカレーを作りたい人にとっては、レシピ本の材料欄を見ながら「これなら全部揃う」と安心できる品揃えだ。
何を買うか決めずに棚を眺めているだけでも、新しい食材との出会いがある。それがこの店の面白さの一つだ。チャイを淹れるために訪れたはずなのに、気がつけばカレーの材料を見ている。そんな寄り道も、この店ではごく自然な流れだ。







今までより少しでも本格的にスパイスを使いたいのであれば、ぜひ利用してほしいのが今回紹介したOsaka Spice & Halal Foodだ。そして、チャイやカレーをきっかけに、まだ知らなかったインドやネパールの食文化へと足を踏み入れる入口でもある。

